この度、LURF GALLERY（ルーフギャラリー）2Fでは、グループ展「着想と実行」を開催いたします。
本展は、東京藝術大学（大学院）にゆかりを持ちながら、それぞれ異なる世代・視点・技法で制作に取り組む5名の作家によるグループ展です。
その中で、「着想」から制作を始める作家と、「実行」から制作を始める作家という2つのアプローチに着目し、その違いが作品にどのように反映されているかをひとつの軸としています。
こうしたアプローチの違いは、単なる制作手法の差異にとどまらず、作家の思考や感性、そして表現のあり方にまで深く関わっています。
本展では、そうした多様な表現のなかに鑑賞者の皆様が自由に身を置き、作品と向き合うことで、それぞれの作品から何かを感じ取り、何かを見出していただけることを心より願っております。展示会期は2025年6月27日(金)から7月27日(日)まで。

展示概要

グループ展 「着想と実行」

会期｜2025年6月27日(金)～7月27日(日)
会場｜LURF GALLERY 2F
時間｜11：00 - 19：00
住所｜150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
アーティスト｜上田尚宏、増田将大、三成花奈、城間雄一、金子葵
協力｜ALPHA ET OMEGA

---

「着想」と「実行」

哲学者のモーリス・メルロ＝ポンティが終戦間際の1945年に発表した「セザンヌの疑惑」と題された小論のなかに、「『着想』は『実行』に先立つことはできない」という興味深い一文が登場する。世代も関心もバラバラな本展の参加アーティストたちの作品を眺めているうちに、このメルロ＝ポンティの言葉が頭に思い浮かんできた。なぜだろうか。おそらく、その理由は5人の作家──上田尚宏、増田将大、三成花奈、城間雄一、金子葵──の実践が明快な「着想（コンセプト）」から始まるものと、反対に大胆な「実行（アクション）」から始まるものに（比較的）くっきりと分かれている（ように私には思われた）ことに由来する。

私自身は、必ずしも「『着想』は『実行』に先立つことはできない」という意見に与する立場ではない。とはいえ、一見すると明確にキュレーションされた統一的なテーマをもたない本展が、「具象と抽象」、「平面と立体」、「物質と非物質」といった芸術をめぐる根源的な二項対立と並ぶ──ともすると、それらの先にある──「着想と実行」という双極について考えを巡らす稀有な機会になるかもしれない。そのように思った。

先に引いた台詞を継いで、メルロ＝ポンティはこう続けている──「表現以前にあるのは、漠とした熱気だけなのであって、作りあげられ理解された作品だけが、われわれがそこに、無というよりもむしろ何ものかを見出すべきであることを、証しするようになるだろう」（Ｍ. メルロ＝ポンティ『意味と無意味』滝浦静雄・粟津則雄・木田元・海老坂武訳、1983年、みすず書房、24ページ）。本展の参加アーティストたちが、みな一様に自らの芸術実践について「漠とした熱気」を有することは疑いない。そして、その作品のなかに鑑賞者が「何ものか」を発見するであろうことも確かだ。

「着想」と「実行」、そのいずれから始まったとしても、5人の作家によって作りあげられた作品という成果物に、わたしたちは何かを見出す。そして、その「何か」を先立って言語によって捕捉することは困難を極める。ゆえに、鑑賞者はただそれらの作品の前に立ち、まずは何かを感じ取ってもらいたいと思う。

山本浩貴（文化研究者）

---

Installation Views

 

---

Artworks

当ページでは、展示作品の一部のみご紹介しております
販売作品のプライスリストをご希望の方は、お問い合わせよりご連絡ください

問い合わせフォーム >>

上田尚宏

 

 

増田将大

 

 

三成花奈

 

 

城間雄一

 

 

金子葵

 

 

---

Artist Profile