RESONANCE ─ コーゲ、フリーベリ、リンドベリ展

このたびLURF GALLERY(ルーフギャラリー)2Fでは、20世紀スウェーデン陶芸を代表し、北欧デザインの中心地のひとつであるグスタフスベリ製陶所の黄金期を築いた ヴィルヘルム・コーゲ(1889-1960)、ベルント・フリーベリ(1899-1981)、スティグ・リンドベリ(1916-1982)による展覧会「RESONANCE」を開催いたします。

コーゲの重厚な造形、フリーベリの精緻なフォルム、リンドベリの自由で装飾的な表現ーー。それぞれ異なる個性を追求しながらも、師弟関係を通じて結びつき、北欧陶芸に新たな展開をもたらしてきました。
素材と造形への探究心と釉薬の試みによって生み出された豊かな作品群は、今日に至るまで国際的に高く評価され、モダニズム工芸の象徴とされています。

本展は、1945年に開催された3人展を「RESONANCE(共鳴)」というテーマで現代に再現するものです。彼らの歴史と共に過去から現在へと響き継がれる工芸の魅力を、この機会に感じ取っていただければ幸いです。

展示会期は2025年10月17日(金)から11月3日(月・祝)まで。

 

Exhibition Overview

RESONANCE ─ コーゲ、フリーベリ、リンドベリ展

会期|2025年10月17日(金) - 11月3日(月・祝)
会場|LURF GALLERY 2F
時間|11:00 - 19:00
住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
協力|ギャラリー北欧器

ギャラリー北欧器
HP|https://hokuouki.com/
instagram|@gallery_hokuouki

 


Talk Session & Opening Reception

トークセッション

本展を記念し、デザインや陶芸に造詣の深いゲストを迎えたトークセッションを開催します。

登壇
土田貴宏 (ライター/エディター)
中村源綱 (中村デザイン室/STILL LIFE)
嶌峰暁 (ギャラリー北欧器)

日時|2025年10月18日(土) 16:00 - 18:00
会場|LURF GALLERY 2F
住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
入場|無料

※ 当日は席に限りがございますため、立ち見でのご聴講をお願いする場合がございます。
※ 混雑の状況により、入場を一時制限させていただく場合がございます。

 

オープニングレセプション

日時|2025年10月18日(土) 18:00 - 20:00
会場|LURF GALLERY 2F
入場|無料

 

作品に関するお問い合わせ|https://lurfgallery.com/pages/contact
LURF GALLERY公式サイト|https://lurfgallery.com/

 


 


参考作品

 


Wilhelm Kåge/ヴィルヘルム・コーゲ

 


Berndt Friberg/ベルント・フリーベリ

 


Stig Lindberg/スティグ・リンドベリ

 


Profile

ヴィルヘルム コーゲ | Wilhelm Kåge

1889年にスウェーデンのストックホルムで生まれる。北欧現代陶芸のパイオニアでアクセル・サルトとともに2大巨匠とされる。国王及びスウェーデン工芸協会から唯一「プロフェッサー」の称号を得た、北欧工芸界の父。もともと著名なポスターデザイナーであり、1917年にスウェーデン工芸協会の推薦で、グスタフスベリ製陶所へアートディレクターとして招致される。世界各国の陶芸に通じ、濱田庄司とも交流、来日も果たしている。 西洋ではそれまで、貴族が使用するような絵画性の高い陶磁器が大半であったが、民藝などの思想に共鳴し、その流れを脱却。日常に使う美しい器の重要性を説き、生涯で30種類以上のテーブルウエアのデザインを手がけた。1920年代より制作を始めたFarstaシリーズは、氏のアートラインとして、中国宋時代や高麗時代、日本の古陶磁をエッセンスに、西洋的絵画や彫刻、古代ギリシャやエジプトなどの陶器のエッセンスを加え、見事に昇華し、独自の視点で作陶された意欲作で、歴史家やコレクターの間では最高傑作とされ、世界的評価が極めて高い。その思想は弟子であるベルント・フリーベリやスティグ・リンドベリに脈々と引き継がれた。1925年パリ万博博覧会(アールデコ博覧会)にてグランプリ。1960年没

 



ベルント フリーベリ | Berndt Friberg

1899年にスウェーデンの窯業が盛んな地、ホガナスで生まれる。13歳よりホガナス製陶所で作陶助手として働き始め、いくつもの窯を渡り、35歳まで22年もの間、轆轤職人として下積み時代を過ごした。1934年、スウェーデンに帰郷しグスタフスベリ製陶所に籍を置く。巨匠ウィルヘルム・コーゲ氏に師事し、41年には独立と同時にグスタフスベリ内に自らの工房を設立した。生涯、数十万におよぶ器を自ら轆轤で制作、日本や中国、朝鮮の古陶磁からインスピレーションを得て、フォルムや釉薬を厳格なまでに真摯に追求した。 その釉調や肌など、女性的な美しさを感じさせる繊細で優美なものが多い。特に、指先にのるほどの小さな陶器は器の宝石と例えられる。スウェーデン・グスタフ6世アドルフ国王をはじめ、イブ=サン・ローラン、ロバート・メープルソープなど世界中にコレクターが多く存在。作品はスウェーデン国立博物館、ニューヨーク近代美術館、ビクトリアアンドアルバート美術館、京都国立近代美術館など世界各国の美術館に収蔵されている。ミラノトリエンナーレにて1947年、51年、54年に金賞を受賞。1965年、ファエンツァ国際陶芸賞でグランプリを受賞。1964年に日本で開催された現代国際陶芸展にも出品。1981年没。

 



スティグ リンドベリ | Stig Lindberg

1916年にスウェーデンのウメオで生まれる。グスタフスベリ製陶所に45年間在籍や関わりを持ち続け、黄金期のアートディレクターを勤めた、スウェーデンを代表する作家である。ストックホルム美術工芸デザイン大学で絵画を学んだ後、僅か21才でグスタフスベリ製陶所へ自薦にて入社。ウィルヘルム・コーゲに師事し、軟性陶器に鮮やかで大胆な絵付けを施す、ファイアンスシリーズで人気を博し、すぐに頭角を表す。 40年代初頭から自らのスタジオで作品を発表する側、49年にはコーゲからアートディレクターの職を譲り受け、ベルサシリーズをはじめとする多くのテーブルウエアやインテリア陶芸作品をデザインした。グスタフスベリのアイコンとも呼べる作品を数多く生み出す事で、黄金期を作り上げた最重要人物である。グスタフスベリから籍を外した際に、2度来日を果たしている。彼の見出した作家として、リサ・ラーソンが知られている。作品はスウェーデン国立博物館、ニューヨーク近代美術館、シカゴ美術館など世界各国の美術館に収蔵されている。1948年、57年にはミラノトリエンナーレにて金賞、51年、54年はグランプリを受賞。1982年に晩年移り住んだイタリアにて没。

 



グスタフスベリ製陶所とは

グスタフスベリ製陶所は、1825年にスウェーデンのストックホルム近郊、ヴァルムド島のグスタフスベリに設立された陶磁器メーカー。当初は日用品の陶器製造を中心に発展し、19世紀から20世紀初頭にかけてスウェーデン国内で重要な産業拠点となる。特に第二次世界大戦後、ヴィルヘルム・コーゲをアート・ディレクターに迎えたことで大きな転換期を迎え、デザイン性に優れた製品が次々と生み出された。その後継者であるベルント・フリーベリをはじめ、スティグ・リンドベリやリサ・ラーソンなど、多くの優れたデザイナーや陶芸家が活躍したことで、グスタフスベリは単なる工業製品の枠を超え、芸術性を備えた北欧モダンデザインの象徴的存在となっていく。
シンプルで機能的、かつ詩的な美しさを持つその作品群は、今日でも多くのコレクターや美術館から高い評価を受けており、スウェーデンの陶芸とデザイン史において欠かせない存在となる。