ヒロ杉山

この度、ルーフミュージアムではアーティスト・ヒロ杉山 個展「Sculpture」を開催いたします。
ヒロ杉山は、国内外のファインアートの展覧会で作品を発表する一方で、様々な展覧会のキュレーションを手がけています。 近年は、具象的な絵画を抽象絵画へと近づけるために、歴史的絵画をモチーフに黒一色でシルエット化し、さらにシルエットに凹凸を付ける事で抽象度を下げることで生じる抽象と具象の「間」を描いた「ブラックペインティング」シリーズを制作してきました。
本会場での個展開催が2回目にあたる本展では、アフリカ美術の彫刻に興味を持ち制作が開始された新しいシリーズ作品、約40点を展示します。モノクロームの絵画空間に表現された「形」を、お楽しみください。また、ヒロ杉山×Lurf MUSEUMオリジナルグッズを会場とオンラインストアにて販売いたします。 展示会期は2024年4月12日(金)~5月13日(月)まで。

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展示概要

ヒロ杉山 個展「Sculpture」

会期|2024年4月12日(金)~5月13日(月) *不定休
会場|Lurf MUSEUM / ルーフミュージアム 2F
時間|11:00 - 19:00
住所|150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
入場|無料

 

ステートメント

古代ギリシャ時代から西洋美術においては、写実主義的なリアリズムで表現する事が尊重されてきました。それは20世紀後期印象派まで続きました。一方、アフリカの美術においては、信仰の理由から自然界にないものを表現することを否定してきました。写実主義的なリアリティを求めるのではなく、精神性を重視しそのものが持つイメージやエネルギーを表現するという事が重要であると考えられてきました。これらの概念から表現されたアフリカ美術の彫刻は、歪んだ形、誇張されたマスク、入り組んだ幾何学的な形態など、これまでの西洋美術からの概念からは考えられない形態をなしていました。

私はこれらの目に見えない、そのものが持つエネルギーの持つ形を表したアフリカの彫刻に興味を持ち今回の“Sculpture”シリーズの制作を始めました。

これまでは、ゴッホやピカソ、マチスの描いた「絵画」を、私の作品の題材にしてきました。その絵画の中に描かれた花や人物のモチーフの輪郭線をとり、その内側を黒く塗りつぶすことにより、その中に描かれていた色彩や顔や服のディテールなど、その他全ての情報を消していきます。その行為は絵画の抽象度をあげることになり、すなわち具象的な絵画を抽象絵画へと近づけることになるのです。絵画のように2次元的な平面に描かれたモチーフには輪郭線は存在しますが、世の中に存在する立体物には輪郭線というものは存在しません。 ギリシャ彫刻にもアフリカの木彫りの彫刻にも輪郭線は存在しません。それらの立体物を2次元化し無理やり輪郭線をつける行為は、その立体物の持つ情報を大きく歪めることになります。また無理やり起こした輪郭線の内側を黒く塗りつぶすことは更にそのものの持つ情報を削除することに繋がります。すなわち何段階も抽象度が上がり、具象が抽象に大きく近づいていくことになります。

今回のシリーズでは、そのものの持つエネルギーを表現したアフリカの彫刻作品、古代ギリシャ時代から西洋美術が行なってきた写実表現の元に作られた彫刻作品、現代美術における彫刻作品など、それらの彫刻作品を元に描かれた絵画、そこに描かれた「形」を見て、元の「彫刻」作品を、ぜひ想像してみてください。

ヒロ杉山