
この度、LURF GALLERY(ルーフギャラリー)2Fでは、アーティスト・本田誠 個展「薄っぺらな森の奥深く」を開催いたします。
本田誠は、自身の感性や経験をもとに、絵画という媒体を通して“言葉にならない風景”を描き続けてきました。
その作品には、夢と現実が交差するような静けさと、どこか現実離れした空気が漂っています。
ふとした瞬間に胸をかすめる説明のつかない感情や、脳裏に浮かぶ景色、忘れていた記憶の断片が素直に滲み出ており、そうしたものが、意味を定めることを拒むように、作品の奥に静かにとどまっているようにも感じられます。
本展では、オートマティズムという手法によって描かれた、作家自身の現実と超現実との境界が曖昧な日常に潜む物語の作品群を展示します。
作家が紡ぎ出す物語の世界を無意識のままに散策してみることも、鑑賞のひとつの楽しみになるかもしれません。展示会期は2025年5月23日(金)~2025年6月16日(月)まで。
ステートメント
古びた大きな切り株に腰を下ろすと、薄っぺらな森の奥に迷い込んでいた。ひび割れた船が頭の中で座礁している。たくさんの糸は複雑にもつれ絡み合っていて、もうどの糸を引いてもよりひどくなるばかりだ。何が原因だったのかわからない。本当はベッドで一日中横になっていた。お布団の中。海に浮かび水平線をみつめる。こっそりと街の隙間に向日葵の種を埋めた。チューリップの球根も。ささやかな充足感とぼんやりとした陰鬱さが、反発し合うことも溶け合うこともなく同居している。温泉は最高だ。猫達もぐっすり眠っている。悲しみが溢れたら太陽で目を潰そう。もうすぐ歯が抜け落ちそうだ。全てが真実でまやかし、真面目になりすぎぬよう。