2026-07 三宅哲平 No Signal
この度、LURF GALLERY 1Fでは、三宅哲平の個展「圏外」を開催いたします。
三宅は、土地に刻まれた地質や鉱物の断面を通して、私たちの日常の背後にある時間や歴史を見つめてきました。
本展では、福岡県飯塚市の炭層と千葉県中央部の山砂の地層をめぐり、自然の長い時間と人間の営みが重なり合う場を探ります。
石炭は、数千万年前の植物が変化したものであり、日本の近代化を支えた資源でもありました。また、千葉の山砂は、首都圏の都市開発を支える一方で、採掘によって土地の風景を大きく変えてきました。三宅の作品は、こうした物質の背景にある時間や歴史をたどりながら、私たちが立つ現在の背後にある、時間と土地の重なりを浮かび上がらせます。
「圏外」というタイトルには、私たちの認識や関心の外側にあるものへ、主体的に関わっていくという意味が込められています。情報に囲まれた現代において、その外側にある時間や歴史、他者の存在に新たな気づきや発見の可能性を見出しています。本展を通して、時間、土地、歴史が交差する三宅の作品世界をご高覧いただけましたら幸いです。
EXHIBITION OVERVIEW
三宅哲平 個展 「圏外」
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会 期
2026年7月3日(金) 〜 8月3日(月)
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会 場
LURF GALLERY 1F
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時 間
11:00 – 19:00
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住 所
〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町28-13 Roob1
Statement
「地層」を掘り始めたのは、墓碑を作っていたからだった。
日本における葬送儀礼は、江戸時代の寺檀制度の流れを受け、いわゆる葬式仏教として死者の存在を規定する基盤となっている。しかし、宗教観の変化、個人化、少子高齢化に伴い、日本における不在の表現を改めて考えてみたいと思ったことが墓碑を作る始まりだった。
だが、墓碑を作る中で思いがけず向き合うことになったのは、忘却という事実、また埋もれた無数の死者が存在し、そして私たちのほとんどもまた忘却されていくという自明の事実だった。そうした無数の存在できない者たちの存在を確かめる方法、見えない膨大な歴史への態度として始めたのが「地層を掘る」という行為だった。
1788年、ジェームズ・ハットンが、シッカーポイントの不整合を通じて発見したディープタイムという地質学的時間は、人間的な時間感覚における過去ではなく、想起不可能な外部の発見だった。しかしその一方で、地層は我々人間と同じく砂粒一粒に至るまで固有の歴史を持っている。人間にとっては地層が結果に見えても、ディープタイムにおいては過程であり、風化は生成であり、それは忘却ではなく変換なのである。
私たちの骨を構成するカルシウムがかつて海に漂う有孔虫であったように、私たちの体を流れる血液中の鉄が星の爆発によってできたものであるように、文字通り私たちは深い時間の上に成り立っている。地層に美と僅かな慰めを感じるのは、普段あまりに短い時間の中で生きる私たちが、喪失という概念すらない深い時間の中に存在する自分自身に触れているからなのだろう。足元を掘れば、それは確かにそこに存在しているということを地層は教えてくれるのだ。
三宅哲平
ART WORKS
Mining
2026
Coal seam, urethane resin, putty, urethane coating and UV-cut clear coating
H22 × W35 × D28 cm / H8.7 × W13.8 × D11.0 in
Mining
2026
Coal seam, putty, ABS resin and UV-cut clear coating
H27 × W28 × D23 cm / H10.6 × W11.0 × D9.1 in
Mining
2026
Coal seam, urethane resin, putty, urethane coating and UV-cut clear coating
H16 × W32 × D25 cm / H6.3 × W12.6 × D9.8 in
Mining
2026
Coal seam, urethane resin, putty, urethane coating and UV-cut clear coating
H10 × W24 × D24 cm / H3.9 × W9.4 × D9.4 in
Mining
2026
Coal seam, urethane resin, putty, urethane coating and UV-cut clear coating
H15 × W27.5 × D20 cm / H5.9 × W10.8 × D7.9 in
Mining
2026
Coal seam, urethane resin, putty, urethane coating and UV-cut clear coating
H11 × W20 × D20 cm / H4.3 × W7.9 × D7.9 in
Mining
2026
Coal seam, epoxy resin, and UV-cut clear coating
H6.5 × W28 × D17.5 cm / H2.6 × W11.0 × D6.9 in
Mining
2026
Coal seam, epoxy resin, and UV-cut clear coating
H11.5 × W21 × D15 cm / H4.5 × W8.3 × D5.9 in
Mining
2026
Coal seam, epoxy resin, and UV-cut clear coating
H5 × W19 × D15.5 cm / H2.0 × W7.5 × D6.1 in
INSTALLATION VIEWS
ARTISTS
Teppei MIYAKE
三宅 哲平
「地層」を掘り始めたのは、墓碑を作っていたからだった。 日本における葬送儀礼は、江戸時代の寺檀制度の流れを受け、いわゆる葬式仏教として死者の存在を規定する基盤となっている。しかし、宗教観の変化、個人化、少子高齢化に伴い、日本における不在の表現を改めて考えてみたいと思ったことが墓碑を作る始まりだった。 だが、墓碑を作る中で思いがけず向き合うことになったのは、忘却という事実、また埋もれた無数の死者が存在し、そして私たちのほとんどもまた忘却されていくという自明の事実だった。そうした無数の存在できない者たちの存在を確かめる方法、見えない膨大な歴史への態度として始めたのが「地層を掘る」という行為だった。 1788年、ジェームズ・ハットンが、シッカーポイントの不整合を通じて発見したディープタイムという地質学的時間は、人間的な時間感覚における過去ではなく、想起不可能な外部の発見だった。しかしその一方で、地層は我々人間と同じく砂粒一粒に至るまで固有の歴史を持っている。人間にとっては地層が結果に見えても、ディープタイムにおいては過程であり、風化は生成であり、それは忘却ではなく変換なのである。 私たちの骨を構成するカルシウムがかつて海に漂う有孔虫であったように、私たちの体を流れる血液中の鉄が星の爆発によってできたものであるように、文字通り私たちは深い時間の上に成り立っている。地層に美と僅かな慰めを感じるのは、普段あまりに短い時間の中で生きる私たちが、喪失という概念すらない深い時間の中に存在する自分自身に触れているからなのだろう。足元を掘れば、それは確かにそこに存在しているということを地層は教えてくれるのだ。 三宅哲平
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