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TEPPEI MIYAKE

Teppei MIYAKE
三宅 哲平
「地層」を掘り始めたのは、墓碑を作っていたからだった。
 日本における葬送儀礼は、江戸時代の寺檀制度の流れを受け、いわゆる葬式仏教として死者の存在を規定する基盤となっている。しかし、宗教観の変化、個人化、少子高齢化に伴い、日本における不在の表現を改めて考えてみたいと思ったことが墓碑を作る始まりだった。
 だが、墓碑を作る中で思いがけず向き合うことになったのは、忘却という事実、また埋もれた無数の死者が存在し、そして私たちのほとんどもまた忘却されていくという自明の事実だった。そうした無数の存在できない者たちの存在を確かめる方法、見えない膨大な歴史への態度として始めたのが「地層を掘る」という行為だった。

 1788年、ジェームズ・ハットンが、シッカーポイントの不整合を通じて発見したディープタイムという地質学的時間は、人間的な時間感覚における過去ではなく、想起不可能な外部の発見だった。しかしその一方で、地層は我々人間と同じく砂粒一粒に至るまで固有の歴史を持っている。人間にとっては地層が結果に見えても、ディープタイムにおいては過程であり、風化は生成であり、それは忘却ではなく変換なのである。

 私たちの骨を構成するカルシウムがかつて海に漂う有孔虫であったように、私たちの体を流れる血液中の鉄が星の爆発によってできたものであるように、文字通り私たちは深い時間の上に成り立っている。地層に美と僅かな慰めを感じるのは、普段あまりに短い時間の中で生きる私たちが、喪失という概念すらない深い時間の中に存在する自分自身に触れているからなのだろう。足元を掘れば、それは確かにそこに存在しているということを地層は教えてくれるのだ。

三宅哲平

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